【ウルブス通信】37:日本が低金利にこだわる理由

ウルブス通信

先進国で日本だけが低金利にこだわる理由

まず初めに
なぜ日本にはお金がないのでしょう?

日本てば
昔は安全で裕福な国だったはずですよね?

それがなぜ
1000兆円を超える借金まみれになってしまったか。
※本当は借金とは言わず政府責務といいます

これはバブル崩壊が原因です。

全ての引き金は、総量規制政策

日本が異常な経済成長に沸いてるバブル時代
大手ゼネコンや大手不動産会社は、
じゃんじゃん借金しまくって
どんどん大きな事業を展開してました。

当時も決して金利は安くなかったんですが、

不動産価値が青天井で上昇していたので
土地さえ転がしてれば
いくらでもお金が集まってきた時代だったんです。

しかしこんな状態は異常であり
永遠に続くわけがない。

そう考えた政府は
イケイケの大手企業を抑制するために
1990年3月
《総量規制政策》
というものを打ち出します。

これは

『金融機関のみなさーん!お金貸しすぎだから考え直してね』
『不動産関連に対する融資は制限を設けるからねー!』
ってこと。

バブルの崩壊

しかしその結果
いくらでも資金を借り放題だと思ってた大手ゼネコン各社は
融資がおりず事業が成り立たなくなり
倒産するところが出始めます。

政府の誤算はそれだけじゃない。

銀行というのは
人にお金を貸してその利息で食っていく企業。
つまり貸せなくなるということは
それだけ経営を圧迫してしまう。

おまけに、

これまで大きな資金を融資してた大手企業が倒産し始め
融資が焦げ付いて回収もできなくなってきてダブルパンチ!
金融機関すら倒産に向かって転がり落ちていくのです。

焦った政府。

どうあがいても世界情勢はなかなか好転しない。
このまま金融機関が潰れては色々と面倒なことになる。
企業は代わり変わりがあっても
金融機関はそうはいかないからね。

これまで
『もうあまりお金は貸さないでねー!』
って言ってた政府。

1991年12月、手のひらを返して
『やっぱやめるー!もっと貸してあげて!』
と言い始めた。これで景気は回復するだろうと。。。

しかしここにも誤算がありました。

瀕死の重体になってる金融機関に、
再び融資を再開する資金が残ってない。

貸し出す元の資金がないかぎり
貸せと言われても貸せない。

この右往左往の状態がいわゆる
《バブル崩壊》
です。

世界的な不況は
全てリーマンショックからと思われていますが
実は日本のバブルはこれが原因で崩壊し
ここから《暗黒の20年》
と呼ばれる時代に突入していきます。

ゼロ金利政策

さらに焦る政府。
『やばいぞ!このままじゃ日本は沈没すっぞ!』

ってことで
金融機関が融資をしやすいように裏技を発動します。
1992年2月、それが「ゼロ金利政策」。

つまり
景気回復の起爆剤として政府は日銀に命じて
金利を一気に0〜0.25%まで引き下げた。

でもこれは
一般消費者が借りる資金の事ではなくではなく
金融機関が国からお金を借りる時の
「政策金利」の方ね。

するとどうなる?

銀行などは元金を国がタダ同然で貸してくれるので
ほぼ無限に資金調達できる。
潰れそうな企業へどんどん融資すれば
どんどん利息で儲かるという仕組み。

でもこれは
一度2015年に解除されてるんですが
新型コロナウィルスの感染拡大によって
2020年3月に再びゼロ金利政策に踏み切った。

まぁ、そこまでして
金融機関や大手企業を救いたかったんですね。

さらに調子に乗った政府は
虫の息の金融機関にどんどん公的資金を投入した上
大手企業には
『黒字になってもしばらく税金は免除したるねー』
とかいう政策まで行ってしまう訳です。

どんどん
国のお金は金利ゼロで金融機関に貸しまくり
そのお金で息を吹き返した企業からは
税金を徴収することもなく
見せかけの景気回復を演じながら
時代は流れてゆきました。

国債と借金大国

そして
日本の政府責務はめでたく1000兆円を超る
ようになりました。

はて?
《このお金は誰が貸してくれた?》
となりますよね?

それが国債というやつですな。

日本は先進G7諸国の中で唯一
《自国が自国に金を貸してる》
という謎の錬金術国家。

そして先進G7諸国の中で
GDP(国内総生産=国内の生産活動のみで得られた額)と
政府債務の差額が一番大きい国。

簡単に言ってしまうと

リーダー的な顔をしているが
ただ一人自分で金を作って自分に金を貸して
見せかけの給料は高いけど
死ぬほど借金が多いという
実は一番、痛い国なわけです。

政府の借金返済方法

この借金は返済しなくていいんですかね?
いえいえちゃんと返すんです。

日本政府は資金が足りなくなったので
「国債」
という名前の商品を作って大手企業に買わせました。

その商品には
他の債権と同じように返済期限があります。
返済期限までに借金を返さなくちゃいけない
イメージです。

でも日本にそんなお金がありません。
お金がないから借金をしてる訳ですから。。。

では政府は
借金を返済するために何をしたでしょう?

答えは

《また新しく 国債 を追加で発行し、
それをさらに買わせて借金返済に充てる》です。

これ覚えておいてくださいね^^
後でまた出てきます。

誰でも知ってる事ですよね?

消費者金融で借金をして、
その返済のためにまた別の消費者金融から借金をする。
これは破産していく人たちの思考パターンだと。

まさに日本政府はそれをやっているわけです。

日本の誤算1:世界的な信用の失墜

自分で自分にお金を貸せるならウハウハじゃない?
いえ、そうでもないんです。

元々国債というのは、
国が作って大手企業に投資目的で買わせたもの。

それをアベノミクスの時に
『国の借金なんだから、日銀が買いなさい!』
と言い出したからびっくり。

国債という商品をどんどん作って
日本銀行が自前でお金を刷りまくり
その自分で刷ったお金で
その国債を買いまくったわけです。

もう訳わかりません。。。

でも結果的に、
大手企業は国債を手放す代わりに
大きな資金を手に入れることができました。

その結果、
経済活動は活発になって日本は潤った。
。。。ように見えました。

実はこれが
アベノミクスが世界に発信した
壮大な《嘘》だった訳ですね。

アベノミクスの嘘

いま日本は
《インフレ(インフレーション)》
です。
※商品やサービスの価格が上がりまくること

ちなみに
3年間で累積100%以上の物価上昇がおこると
《ハイパーインフレ(ハイパーインフレーション)》
となります。
※つまり物価が2倍になるってこと

ついでに説明しちゃうと
インフレに景気後退がプラスすると
《スタグフレーション》
というものになります。
※別名「経済破綻」と同義語のように扱われます。

日本は1970年代のオイルショック以降
《スタグフレーションには陥っていないので》←ここ重要!
「安全通過」として一定の評価を受けてました。

国際社会において地位を維持したいから
《インフレ + 景気後退 の スタグフレーション状態》
なんて評価をもらう訳にはいかなかった。

だから、アベノミクスでは
世界各国に対して意地でも
「好景気」を演出し続ける必要があったのです。

嘘つきは制裁される

でも、そんな矛盾が許される訳がありません。

この手法は
「財政ファイナンス」
と呼ばれる違法活動なんですね。

ちゃんとした財政法にも
「違法だぜ」
と明記されてる禁じ手です。

でも、それをやっちゃった。。。
結果どうなったか?

一見、経済活動が活発になり、
日本に活気が戻ったように見えたが
その裏では、日本国自らが違法の禁じ手を使って
自国の借金をどんどん増やしてた。

そんな国のことを誰か信用しますか?

世界的に
《アメリカさんが擁護してたから言えんかったけど》
《そもそもそれっておかしくね?》
という感覚になっていってしまった。

それが「円」が世界の安全通過から外された
1番の原因です。

これを裏付けるように、
国際決済銀行が発表してる
『通貨別の外国為替決済高』

約10年前の2012年は
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
1位:ドル 87.0%
2位:ユール 33.4%
3位:日本円 23.0%
4位:ポンド 11.8%
5位:オージードル 8.6%

8位:人民元 2.2%
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
でした。

これが直近のデータではどうなったか?
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
1位:ドル 39.92%
2位:ユーロ 36.56%
3位:ポンド 6.30%
4位:人民元 3.20%
5位:日本円 2.79%
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
です。

オリンピックがあったのは中国も日本も同じ。
でも世界評価にはもう逆転されてるんですよ。

これが
「財政ファイナンス」
という禁を犯した国への《世界的な制裁》
になってしまってるわけです。

日本の誤算2:利息がどえらいことに

これが一番いたかった。

日本は日本が国債を発行し
日本の銀行である日銀がお金を作りそれを買った。

その借金を返済するために
日銀はまたお金を刷り国債を購入する。

しかし、国債は簡単に言うと投資商品な訳だから
売買する時に金利差損が発生します。

金利差損が発生するということは
買った時の金利 より 買い戻す時の金利 が大きいと
その差額も支払わなくてはならないから
結果的に大損害になります。

そんで。。。

バブル崩壊したときに
日本って何やりましたっけ?

そう
「ゼロ金利政策」
とかやっちゃいましたよね?

自滅していく日本

バブル崩壊時
大量に国債をバカバカ発行してた時は金利 0%。

アベノミクスで国債を日銀に買わせた時は、
一時解除したもののまた 0%にしちゃった。

元々金利 0%で発行した国債だから、
金利が上昇すればするほど支払い額が増えて
日本の借金が増え続けていくという
方程式になっています。

すると?

また国債発行して
借金して
国債的な信用が失墜して

さらにアメリカさんに頼らないと
生きていけない弱小国になる。

「今の国民はアベノミクス時代の借金を払わされてる」
とか言われる原因はここにある訳ですね。
※もちろん恩恵もありましたけど。

ちなみに

どんどん金刷って借金増やしちまえよ!
って声もありそうですが
金利がどれくらいで日本が破綻するか。

たとえば

0%で発行した国債を1%の金利で買い戻した場合。
国家予算の50%が消失します(笑)

《日本が破綻しないギリギリ返済できる限度》
これが実は、金利0.25%なんです!

金利を上げられない本当の理由

だから
日銀は金利を0.25%以上にすることはできない。

だって
発行しまくった国債を日銀に買わせちゃったんだから

金利差損で日本が破綻する
というシナリオも出来ちゃった。

良くはないですが
国債を大手企業に買わせてたころはまだいい。
企業や金融機関が破綻するだけですんだから。

でも、その金融機関や大手企業を守るために
ゼロ金利政策で、金利0%にしちゃって。

アベノミクスでその国債を日銀が買い上げた。
あたりまえだけど、その結果
借金の保証人が「日本国」になっちゃった。

自分達が金利0%にしちゃった時に発行した
国債がヤマほどある。

国債には期限があって、
もうすぐ強制的に支払わなくてはいけない。

でも、いま金利が上がっちゃうと
返済額が増えちゃって
日本経済は破綻するのみ。。。
という流れになってしまっているんですね。

だからこそ

アメリカは0.25〜0.5%への利上げ。
イギリスは2021年12月に続き
2022年2月にも政策金利を引き上げ。
ヨーロッパ中央銀行も2022年中に利上げの方向。

そんな《世界が利上げの方向に動いてる》中、
日本だけが長期金利をストップさせようとしている。

国際社会に反発して
日本だけが低金利を推し進める理由。

それは

《そうしないと破綻しちゃうから》
なんですな。

そんなお国になってしまった日本。
起爆剤が見つからない。。。

お疲れ JAPAN。

※説明を簡素化するために
比喩や簡易説明を多用しておりますが
イメージだけでも掴んでもらえたら幸いです。